人の気持ちが伝染しちゃうのは?

トラウマを理解するうえできわめて重要なのだが、前頭葉は、共感(他者の身になる能力)の座でもある。現代の神経科学における屈指の大発見は、一九九四年になされた。
イタリアのある科学者グループが幸運な偶然に恵まれ、やがて「ミラーニューロン」として知られるようになる、大脳皮質の特殊化した細胞の存在を突き止めたのだ。

〜中略〜

この発見に続いて世界各地で無数の実験が行われ、共感や模倣、同調、さらには言語の発達といった、それまでは説明できなかった心の多くの側面が、ミラーニューロンで説明できることがほどなく明らかになった。

ある書き手はミラーミューロンのことを「神経Wi-Fi」と呼んだ。

私たちは他者の動きだけではなく、他者の情動的な状態や意図までも捕捉するのだ。人々は互いに同調しているときには、同じような格好で立っていたり座っていたりすることが多いし、声も同じリズムになりがちだ。

だがミラーニューロンのせいで、私たちは他者のマイナス面の影響も受けやすい。
だから私たちは、他者の怒りには激怒で応じ、彼らの抑うつ状態に引きずられて気分が落ち込む。

ミラーニューロンに関しては、本書でのちほどさらに触れる。
トラウマは、目を向けてもらえなかったり、真似てもらえなかったり、考慮に入れてもらえなかったりする経験と、ほぼ例外なく関係しているからだ。

治療では、安全に他者を真似し、他者に真似される脳力だけでなく、他者のネガティブな情動に乗っ取られないよう、逆らう能力も再活性化させる必要がある。

身体はトラウマを記録する/ベッセル・ヴァン・デア・コーク

ミラーニューロンのはたらき

大嶋先生の本を読まれる方ならおなじみのミラーニューロンですが、このミラーニューロンのおかげで、私たちは人の気持ちになったり、共感したりすることができます。

対面して会話したりしている時はもちろんですが、たとえ言葉を交わしていなくても、緊張している人のそばにいくと緊張してしまったり、心配している人のそばにいくと自分も不安になったりするというのは、このミラーニューロンが働いてくれているから!ということなんですね。

ミラーニューロンが働きすぎると

人間って社会的な生き物なので、この共感するということは生きていく上でとても大切なシステムです。
でも、他人のマイナスな感情をミラーニューロンをつかって真似してしまうと、自分にとってよくない影響を与えてしまいます。
他人の「怒り」や「不安」や「自信のなさ」を自分の中に取り込んでしまって、「自分はキレやすい」とか「自分はダメな人間だ」なんて評価を自分にしてしまったりするんですよね。

小さい子供の時に、不安を感じるような環境にいると、「人の顔色を伺う」ということをものすごく行っています。(そうしないと生き残れないので)
そうすると、その部分の能力がそうでない人に比べて育ってしまうことで、余計に他人の気持ちを受け取りやすくなっている、ということが起こっているのではないのかなと感じます。

「心に聞く」を使って自分の感覚を取り戻す

私が「心に聞く」をもっと気軽にたくさん使っていけたらいいな〜と思うのは、そんな不快な感覚を「自分のものなのかor他人のものなのか」を無意識の領域を使って確認できるからという風に感じています。
面白いことに、頑張っていろいろ分析するよりも納得!な答えが返ってきたりするんですよね。

みんなが不安になっていると、その感覚が伝染して一緒に不安になりやすいなと感じます。
そんな時に、一度自分の本来の感覚を取り戻して、冷静にものごとを観察できるといいのかなと感じました。